誰も得しない日本史

誰も得しません

海賊狩りの日蓮(後編) ―ワンピースでたどる日本史―

 

前回のあらすじ。日蓮が幕府にケンカをフッカケた。

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さあ、それでは、ケンカをフッカケてきた日蓮に対して、裏ボスの北条時頼は何をしたのか?
 
I’m not the kind of fool who hunts rabbits with a cannon. You may have a reputation, but you’re still just a bunny.
Sorry, but this is the smallest knife I’ve got. (by "HAWK-EYE" MIHAWK)
(おれはうさぎを狩るのに全力を出すバカなケモノとは違う。多少名を上げた剣士がいたところで、あいにく これ以下の刃物は持ちあわせていないのだ。(鷹の目のミホーク))

 

なんと、北条時頼立正安国論』をスルーしました。ナメプです。裏ボスたるものは、一人の僧侶に噛みつかれたからといって、動じたりはしないものなんです。

 

 

しかし、時頼以外の者たちは、ここから本格的な日蓮攻撃を始めました。この後、日蓮「四大法難」とよばれる大ピンチに遭遇することになります。

 

そにょ1!

念仏宗徒の集団が日蓮のおうちに焼き討ちに来て、日蓮を打ち殺そうとした!

このとき、日蓮は弟子たちに守られて、なんとか脱出することに成功しました。

 

そにょ2!!

伊豆に島流し!それ以上に、島流しの途中に、めんどくさくなった船頭が日蓮岩礁に置き去り!!

 ↓この岩礁に!

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画像:伊豆法難 - Wikipedia

このとき、日蓮はたまたま近くを通りかかった漁師に助けられました。

 

そにょ3!!!

ママに会うために実家に帰ったら、地元の武士のボス(地頭)が襲撃してきた!!!

このとき、ママに会いたい日蓮につき合わされた弟子が、二人討ち死にしました。日蓮は、左腕と額に刀傷を受けたけど、なんとか逃げ切りました。

 

ここで、1268年、元(モンゴルが中国を征服してつくった国)の皇帝フビライから、幕府に手紙が届きました。「金銀財宝を持ってきて服属しないなら、皆殺しにしちゃうゾ♡」というものです。モンゴル襲来(元寇・蒙古襲来)の始まりです。

なんでか知らないけど、日蓮はこの情報をつかみました。そこで日蓮は、ほらみたことかと、またしても立正安国論』を、ときの執権北条時宗ドヤ顔で叩きつけます。もちろんその内容は、「おいおいおいおい、この前おれが言ったとおりだろ(前編参照)お前らがおれのいう事聞かないから、外国が攻めてくるじゃん。早う、お前らの信仰を捨てなされ」というものです。

 

そにょ4!!!!

 

The day I decided to be the world's greatest swordsman, I gave myself up for dead.

Nobody calls me a fool but me, I have my reasons. (by Roronoa Zoro)

(剣士として最強を目指すと決めた時から命なんてとうに捨ててる。このおれをバカと呼んでいいのは、それを決めたおれだけだ。(ロロノア・ゾロ))

 

さすがに幕府も日蓮を逮捕しました。そして、日蓮の取り調べが始まります。なにげに、このときに取り調べをしたのは、当時侍所の長官(所司)だった平頼綱です。あの受験生御用達の、霜月騒動安達泰盛を滅ぼした、御内人平頼綱です。

では、日蓮は取り調べに対して何と答えたのか。それは「お前ら幕府が大事にしている、建長寺や大仏を焼き払え!」というものでした。遠慮のかけらもありません。

というわけで、日蓮は瀧口というところで斬首の刑に処せられることになりました。誰の目から見ても、「そりゃ、そうなるよね」って感じです。

そして、死刑執行人がまさに日蓮の首をはねようとしたそのとき!雷的なものが現れて、死刑執行人の刀をどーんとへし折ったというのです!まさに、100%ローグタウンのあれですね。

こうして、日蓮はまたしても助かったのでした。この話は日蓮自身の証言なので、そのまま信じるかどうかは人それぞれです。ただ、日蓮は処刑されようとしたけれども、何らかの理由で処刑は中止になったということだけは、歴史的事実です。

 

 

エピローグ

 

Yes. That’s defeat. (by "HAWK-EYE" MIHAWK)

(そう それが敗北だ(鷹の目のミホーク))

 

この後も、「今年中にモンゴルが攻めてくるから、早くおれを信じろ」と、幕府に三度目の意見書を叩きつけるくらい元気のよかった日蓮ですが、ある日を境に、モンゴル襲来についてスルーするようになりました。同時に、弟子に対しても、モンゴル襲来の予言についてはスルーしろとプレッシャーをかけています。

日蓮の予言は、幕府などが浄土教禅宗を捨てて、日蓮を信じなければ、外国が攻めてきて日本が滅びるというものでした。ところが、モンゴル軍は攻めては来たものの、暴風雨にあって壊滅したんです。日本は滅びなかったということです。

これを聞いた日蓮は言いました。「うせやろ!おれをハメるためのワナだ!(偏に日蓮を失わんと為て無かろう事を造り出さん事『富城入道殿御返事』)」と。

そして、日蓮は予言の件について口を閉ざしたまま、翌1282年に息を引き取りました。

 

最後に、ワンピースを思い出しましょう。

海上レストランにドン・クリークの一団が襲いかかってくる。そこに鷹の目のミホークが現れる。ミホークに挑みかかるゾロ。一方で、ゴーイングメリー号を乗っ取って、ナミはトンズラ。

ここはワンピース序盤の見せ場でしたよね。このへんのドタバタしたすばらしい展開で、ハートをわしづかみにされた人も多いと思います。私もその一人です。二十歳も余裕で過ぎていたころに、ゲーセン友だちと「身のキケーン!」「いぶし銀」とかいって、キャッキャウフフと遊んでいた記憶があります。そんな人生です。おれ。

最後に、ゾロとミホークの、あのシーンを振り返っておきましょう。

  

You want your guts cut out? Why don’t you retreat?

(このまま心臓を貫かれたいか なぜ退かん)

 

I can’t. If I retreat even one step...

...my vow, my ambition...everything I care about..will be shattered.

And all my dreams will be lost forever.

(さァね…わからねェ…ここを一歩でも退いちまったら

何か大事な今までの誓いとか約束とか…いろんなモンがヘシ折れて

もう二度とこの場所へ帰ってこれねェような気がする)

 

Yes. That’s defeat.

(そう それが敗北だ)

 

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One Piece, Vol. 6: The Oath (One Piece Graphic Novel) (English Edition)

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